 | 2002.6.22 |  |
 | 「景気はどうなる−日本、千葉県経済の現状と課題−」 講師 ちばぎん総合研究所 顧問 古賀邦彦 |  |
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プロフィール
福岡県出身。昭和37年に一橋大学卒業後、日本銀行入行。平成元年に同行を退職。 この間「政策委員会庶務部調査役」「特別研究室調査役」「静岡支店次長」「考査役」などを歴任。 日本銀行退職後は(財)千葉経済センター専務理事。 平成2年2月から、株式会社ちばぎん総合研究所顧問就任。 (株式会社ちばぎん総合研究所 http://www.crinet.co.jp/)
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▼はじめに
皆さんこんにちは、ただいまご紹介に預かりました、ちばぎん総合研究所の古賀でございます。 本日は岡島さんのネットウェイブ講演会でお話しする機会を頂戴いたしまして、大変光栄に存じております。先日、実は岡島さんが私どもの会社まで、お越しになりまして、「千葉県に根を下ろした、言わば千葉県の実情に基づいた経済動向を話してくれないか」というお話しを承りました。
今、日本がどうだ云々という話はあっちこっちで話されていますけれども、実は足元の千葉で、本当のところどうなんだろう?と言うと、一般的に言えば、これはほとんど全国べース、変化率で言えば、同じような状況だと思います。 ですけれども、構造的と言うか、その裏にある実情というのは、随分違うんだろうという気がしております。そういう意味で岡島さんの話、まことに的確な問題意識だという感じがいたします。喜んでここに参上させて頂いた訳です。
今の時代は実は不安が満ち満ちております。あまり発音が良くなくて不満、と聞こえたかもしれませんが、不満も満ち満ちているんですけどね。実は不安が・・・安心できないという不安が、満ち満ちているのが一番大きな問題だろうと思っております。 この不安が日本経済をきわめて厳しい状況に追い込んでいると言えるのではないかと思っております。千葉県経済の状況も同じ線の上にあるのだろうと思います。しかし、私は、現在の経済の閉塞感から脱出するのはそう簡単なことではないかもしれませんが、ですけれども、決して不可能ではないと思っております。このまま、日本がズルズルと後退する事を欲している人は誰もいないと思います。
千葉県に目を向けますと、実は日本国内では大変優位な地理的、地政学的な位置にあると思っております。私どもずっと千葉県に住んでいますと、千葉県がそれほど優位かなぁ?アドバンテージがあるかなぁ?と感じるかも知れませんが、よくよく考えてみますと、千葉県というのは大変条件の良いところにあると、言って良いと思います。
この地理的、地政学的に優位な位置取りが、いわばこれまでの千葉県の経済発展を支えてきたのだと思います。でもそういうものだと思っているものですから、要するに条件がよいという感覚はあまり無い。そうすると、他所とあまり変わらないなぁ、と。瞬間スピードの方向感で言えば、他所と比べてどうだと考えれば、決して他所より良いという様な状況は出てこないんだと思います。
ですけれども、これからは、この優位性を実際の経済的パフォーマンスというか、経済を実りあるものにするというか、そういうパフォーマンスの良さに、繋げていかないといけないのだろうと考えております。今日は、日頃私どもが研究し、考えている事を率直に申しあげて、ご参考にして頂こうと思っております。
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▼今、言われている「景気の底入れ」とは
まず最初に、今の経済状況ですけど、先程、岡島さんがお話していましたが、一応経済は底に入ったというか、非常に微妙な言葉でしてね、これは内閣、政府の判断で言いますと、「経済は底入れしている」という表現になっております。これは正確に、読まないといけないだろうと思います。 実は一般に、この底入れしているという政府の経済報告を基にして、底入れ宣言をしたという風に言われております。
底に底入れしたと・・正確に読む必要があると申しあげましたが、先程申し上げました様に「景気は底入れしている」というのがちゃんとした表現なのです。底入れしているというのは、底入れしたという過去形じゃないんですね。という事はですね、底入れしている・・なんとなくわかりませんよね。もう少し、本当に日本語らしい日本語に変えますと、「底に入っています」と言ったら判ると思います。同じ事ですよね、どうも語感は。
底に入っていますと・・まだ、底にありますという意味ですよね、「底入れした」と底入れ宣言と言うとですね、底入れをして、なんか「上にいきつつあるのでは」という感覚を持つ・・そういうまやかしの表現が、今、はやり始めていますけど、実は「悪くなるのが止まっただけ」の話というかですね、そういうことだろうと思います。
何故、そういう状況になっているかというとですね、まず、悪くなるのが止まったのは、輸出が増え始めたからです。輸出が増えるというのは、一般には頭に思い浮かぶのが、外国の景気が良くなるという事。特にアメリカの景気が、ITバブルが弾けて以降、半導体とかパソコンも良くない、通信関係も良くないという事で、受注がどんどん減って、輸出が減った訳です。要するに、いっぱい在庫を抱えていたわけですね。半導体、パソコンにしても。作り過ぎってしまった物を、それをとにかく掃かせちゃおう、掃けたから、これから少し良くなりますよという事で動きだした。皆そういう風に思っていました。ですから、アメリカへの輸出が増えた、という事が第一だろうと思っていた訳ですね。
実は、アメリカへ向けての輸出が本当に増え始めたのが、4月、5月です。今年の初めくらいから輸出は数量的に増えていますけども、アジアに向けた輸出が増えた。アジア向けの輸出が何かというと、パソコンとか、色んな物ですね、部品を日本から供給している。中国を中心としたアジア諸国はいわば、今、世界の工場になっています。かつては日本が世界の工場だった訳ですよね。ところが、パソコンにしても、家電製品にしても、圧倒的に作っているのは、最後の組み立て段階でその製品にしているのは、中国であり、台湾であり、韓国であり、マレーシアであるという事で、日本の輸出は、自動車がかなり良いですが、人件費が高くなってしまったものですから、そんなに輸出で稼げないんですね。
そういう状況になっていますので、私共の頭の中では、輸出が増えた、それは先進国向けの輸出だろうという発想がありますけれども、アジア向けの輸出が増えていると。これが、去年の冬、初冬ですね。10月、11月位から増え始めて1月から3月は明らかに日本の輸出が増えました。4月、5月も増えております。そういう形で動いておりますけれども、先進国の元気が良くなったから輸出が増えているという事ではないと、これは非常に重要な事なんです。
先程、岡島さんがおっしゃっていましたが、アメリカの景気もちょっと疑わしくなってきました。昨日もアメリカの株価はまた下げました。どうも、調整していますね。その影響を受けて日本もやや調整していますけれども、輸出はとにかく増えています、それに伴って日本の生産が増え始めました。やっとこさ、生産が増えるというのは、経済活動が良くなるという事ですから、ようやく動き始めました。どんどん、悪くなっていたのが、生産の方は増えました。これは、下げ止まっただけでなく、少し増えています。明らかに増えています。ですから、ここのところだけを見れば良くなり始めましたね、という事が言えます。
ですけれども、他の所を見ますと、なかなかそういうふうには言えない。それは、ちょっと専門的になりますけれども、経済が、良くなっていくためには、輸出が増えるのはもちろん重要な事ですけれども、個人消費と設備投資と、それから公共投資です。この少なくともどれかが、もうひとつくらい、良くならない事には、なかなか拡がっていかないというのが実情ですね。
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▼政府統計と実体経済の乖離(かいり)
個人消費はなかなか良くならない。 実は政府の統計、GDPの統計で見ますと、この間、発表された1-3月の個人消費は、日本国内総生産GDPの6割位占めている訳ですが、1-3月は前期比10-12月に比べ、1.6%増えたことになっています。
ほとんどの人は信用していません。これは、政府が言っている事を、信用していないという事ではなくて、この数字がちょっとおかしいのではないかと、実感から比べて、どうも個人消費がプラスになっているかどうか判からんと、こんなに大きく1.6%も・・GDP全体が1.4%増えたのですが・・個人消費が1.6%増える、前期比ですがね。これ、年率に直すと、この調子で行くと、1年前に比べて6%から増えることになる訳ですね。そんなに増えているはずないと皆、思っている訳ですね。
これは、政府が家計調査で色々と、個人のそれぞれの人から、アンケートで調査を貰っていまして、それを集計して、それをもとにして、GDP統計を作る訳です。個人消費については、個人がどれだけ使っているかという家計部門からの情報をもとにして、こういう統計を作る訳ですけれども、実は売る方の統計・・販売統計、自動車にしろ、百貨店にしろ、スーパーにしろ、まぁ、小売店全体の統計にしろ、あまり良くないんですね。増えていないんですね。 売る方が増えていなくて、買った方は「買いました」と言う数字が出ているというのが、今の状況です。それで、どうも売る方の統計からみると、あんまり良くなっていないんじゃないの?、というのが今の実態感覚だと思います。
設備投資は落ちてしまいました。企業が設備投資をやろう、となかなかそう言う気にならないというか、なれない。何故かというと、「だってそんなに買ってくれてないじゃない?」「個人消費、そんなに増えていないでしょ?」と皆思っている訳ですね。GDP統計みたいに1.6%も増えて、更にこれからも増えるだろうという事であれば、設備投資やってもいいですね、という事になりますけれども、なかなかそういう感じにならない。
それから公共投資ですね。これは借金を、国も地方も自治体も借金を一杯抱えていますので、そう簡単に増やせませんよ、という話になってくる。1-3月はそれでも、季節的なものもあると思うのですけれど、4.1%増えたという統計になっています。
ですけれども、こんな調子で増えていくとはとても考えられない、と皆思っている訳です。そうしますと、1-3月、確かに10-12月に比べて、GDP全体・・GDPというのは日本経済全体の、要するに売上と考えてくれれば、結構です。この数字は1.4%、前期に比べて増えましたと。1.4%を4倍すると、年率になるわけですね。1年間でどれくらい伸びるか、という感覚からすると、5.6%、複利計算でいくと5.7%増えるという事になります。 そんなに高い伸び率が本当にあるのだろうか?と皆思っている訳ですね。 実はそういう意味で、たまたま1-3月はいい数字が出ましたけれども、そんなにうまくいくはずがないと皆思っている訳ですね。
ちなみに民間の調査機関、ブルームバーグという所が集計した数字でいきますと、ごく、最近出した数字ですけど、この2002年度の経済成長率は、前年度に比べて0.0%、要するに前年度と変わらないという、調査機関32社平均の数字が出ております。これは、もう1年度先2003年度の数字でいきますと、これが1.1%になるだろうと、少しは高くなりますね、という事になっています。 1.1%というのは、決して日本経済の実力からするとですね、低い数字ではないかもしれませんね、それ位、日本経済の足腰は弱っているという事を考えた方がいいかと思います。
それから今、輸出がちょっと増え始めました。それが他の所に移って少しずつ良くなるか、という事ですけれども、なかなか良くならないだろうと、多くの所が考えているというのが、今の実情です。ちなみに過去2003年度迄、0.0%とか1.1%というのも含めてですね、過去8年間の平均成長率を考えますと実は0.8%なんですね、1年間に。
今、中国が7%ちょっと伸びています。少しずつ落ちてきたんですね。それでも7%伸びているんですよ。これは、日本も、30年代から40年代にかけて見ればこれ位の成長はしました。伸び盛りの時は、これくらい伸びるんですね。ですけれども、今の日本の経済と言うのはどうも、成熟化して、成長力が非常に鈍くなっているという事だと思われます。とりあえず、今の方向感覚、どういうふうになっているかということだけ、ちょっとお話ししました。
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▼千葉県経済の現状
次に、今の千葉県の状況・中身、経済の中身を、見ていきたいと思います。 基本的に言いますと、方向感覚、変化率でいきますと、千葉県も全国も殆ど同じだと思います。千葉県の、例えば半導体メーカーとか・・結構、千葉県にあるんですよね。 そういうところの話を聞くと、去年の秋位から、受注が増え始めましたと、やっと、変化し始めましたという声が聞かれました。
それで、例えば、液晶パネルを作っている日立の茂原工場ですね、ここは、去年、一昨年、大変な設備投資をやりました。500億円というようなお金をかけて設備投資をやりました。去年の夏ぐらいは、それが出来上がっても工場を稼動させられない、ラインを稼動させられないという状況がありました。新しい工場、その動きが止まりました。ですが今の状況は、殆どフル生産に近いところまで戻しています。やはり、あの、部品ですよね、部品供給というのは、日本の電気産業、これは依然として元気だというかですね、そういう意味では、千葉県でも輸出が増え、日立さんにしても、それからICを作っている他の所にしてもですね、かなりの部分は輸出になっています。
輸出はやはり中心になるのは、中国や台湾や韓国向けですね。それで、瞬間スピードとしては、輸出が増えて生産が増える。ですから、工場に勤めている人はですね、少し良くなってきました。 これは、何も電気関係だけでなく、鉄や、化学といった、基礎素材のメーカーでも同じ様な傾向にあります。輸出が増え始めた訳です。それで、生産が増えている。少し経済活動が良くなってきた。という意味では千葉県も日本全体も殆ど同じ状況にあると、言っていいんだろうと思います。
それじゃ、すべて同じかと言うとですね、地理的に千葉県というのは非常に条件が良いですよと申しあげました。地理的にも、地政学的にも経済的にも優位な条件が色々あると思います。その話をこれから、ちょっとさせて頂きます。
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▼戦後の就業者人口からみる千葉県の経済動向と優位性
千葉県を、ちょっと長い目で千葉県の経済動向を眺めてみたいと思います。 長い目と言いましてもね、やはり、江戸時代から云々と言っても、始まらないですから、第二次世界大戦後の千葉県の動きをひとつの指標で、ちょっと話をしたいと思います。 就業者が、要するに仕事をしている人が、第1次産業、第2次産業、第3次産業それぞれに何%ぐらい続いているかという、話から始めたいと思います。
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(1)第1次産業―農・林・水産業
就業者ベースで見ますと、第2次大戦後、1945年ですね。第1次産業にいた人は63%です。農業県ですよね。間違いなく農業県です。6割以上の人が農業と漁業に携わっていたという事なんです。 それが今、今現在は、2.5%しかいません。わぁー、減ったなぁって感じですよね。全国平均と、この2.5%という数字はほとんど同じです。63%から、2.5%に減った訳ですからさぞかし大変だろうなぁと。ですけれども、他のところに皆移っちゃったんですよね。お爺さん、お婆さんが主として残っていると。それじゃ、足腰も弱ってきただろうし、大変だろうなと、思うのですね。
実は、千葉県の農業は、全国の都道府県の中で、第2位です。北海道が第1位です。その次、第2位に、その生産額がですね、千葉県は君臨しています。非常に元気です。何故元気かというと、やっぱり、地理的に非常に有利な条件にあるんですね。東京、大消費地に近いという事ですね。色んなこと言われていますが、市場経済の洗礼を早い時期に受けているのです、千葉県というのは。
農業というのは皆さん、農協さんが非常に強くて、皆がっちり固めていて、農協さんがすべて、集荷して、売って、いわば皆同じ様な事をやっているという感じをお持ちかもしれませんけど、東京に非常に近い所、しかも温暖な気候であるという事から、お米が早く取れますね。この早く取れる早場米を市場で・・今はもういいですよね、かつての表現で言えば、ヤミ米。自主流通米、その後の言葉で言えば・・そういう形で少しずつ流していたんです。 これが、市場経済です、統制経済じゃない部分ですね。マーケットで値段がつく価格で売ると、これは明らかに、早く取れますから・・早場米ですから・・早く新米を食べたいという発想からいくと、高い値段がつきますね。それを東京のお米屋さんや、色んな人が早く買いに来ます。農家の庭先に買いに来ます。消費地に近い所で、それぞれの農家が早い時期に高い値段で売れる。これぞ、市場経済のいいところなんですね。かつて、その頃は目の仇にされていました。ですけれども、そういう環境で育った農家の人は市場経済の下でやっていけば、上手くいくかもしれないなぁ、という期待を持てる状況をちゃんと持っていた訳なんですね。
今何で頑張っているかというと、それが野菜や果物や色んな物で、あるいは園芸商品、花とかですね。そういう物で非常に頑張っております。ですから2.5%しかいませんけれども、従業者数で。非常にしっかりとした経営をおやりになってところが一杯あると。それが、あまり表立って言われませんけれども、1村1品で非常に多様化していると。これが非常に重要な事だと思われます。
これは、10年位前から動いていますから、実はまだ、農協さんが強い時期、今、やっぱり地盤が沈下してきますとね、個人がいろんな事をやろうという状況が、出て参ります。例えば、外房のある市の山の中で、薔薇作りをやられている方は、東京に直接持っていかれますね。目黒とか、六本木とか、そういう所に卸していらっしゃいます。販売していらっしゃいます。これは、静岡のメロンが非常に高く売れるのと同じで、誰それさんの薔薇は、日持ちが良くて発色が良くて云々と言う事で、高く売れる訳です。そうすると地元の、大きな某ホテルが私の所にも、売るために卸してくださいよ、と話をしても、それだけの物がありませんよという状況なんですよね。
実は、それだけの物を作ってちゃんとおやりになっている。自分でおやりになられるんです。自分で出荷されます。そこまで持っていかれるんです。そいうことをやる。一般的な状況とは違う。農協さんの集荷ルートには乗らないような形で。しかし元気でおやりになられている、それがやれる地理にある、場所にあるというのが千葉県では非常に重要な事であろうと思います。こういう状況がですね、1次産業で起きています。
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(2)第2次産業―鉱業、建設業、製造業
2次産業では、先程の就業者ベースでいきますとね、戦後12%でした。製造業ですよね。それが、バブルのちょっと前位ですかね、30%位までいきました。就業者ベースで今、25%です。 減りました。ウェイトが減ってきました。ですけれども、実は千葉県の製造業は、他所の首都圏の中にある、神奈川県や埼玉の工場に比べて、あるいは群馬や茨城の工場に比べても、条件がいい所がかなり多いです。
なぜかと言うと、千葉から五井の方へ車で走られたらわかると思いますが、大きな工場がズラズラと並んでいますね、右手、海岸寄りに。 非常に大きな工場なんです。これらはそれぞれの会社の有力工場です。今、製造業は、リストラをやっています。皆やっています。ここからもう少し先にいきますと、新日鉄がありますね。室蘭工場って閉鎖しましたよね。ほんの一部動いていますけど、基本的に閉鎖しましたよね。そうした中で、千葉県にある工場は、主力の工場として、今、集積を進めています。
確かにね、リストラやっていますから、従業員は少し減っています。そういう大きな工場で従業員を減らしていますから、例えば日立さんも、ブラウン管工場を閉鎖しましたね、その結果、佐倉の工場と習志野にあった工場を止めちゃいました。確かに減っています。ですけれども、それにも関わらず、千葉にある工場は、その会社にとってみれば中核工場です。ですから集積を進めるのですね。
何が進むかといいますと、研究所や試験施設、これを千葉の工場の中に造ります。何故、そうやるかというとですね、中核工場ですから広い敷地を持っています。幸いにして今の工場というのは、埋め立てをやった時に、立派な会社にしか売らなかったですね。立派な会社に土地を前金で払えと言って、要するに県に金がなかったものですから、千葉方式とか言ってやったのですけれど、それを払える立派な企業に売ったんですよ。その時、金がある所しか買えないんですよね。ですから、今になってみますと、それぞれの工場は新鋭、それぞれ会社の新鋭の工場であって、広い土地を持っているから、その土地の一部の製造ラインを止めても、研究所を造りましょうとなる、その研究所から新たな製品が生まれていきます。
そんなこと言ったって、例えば新日鉄さんで言えば北九州、八幡製鉄所の発祥の地ですからね、あそこに造ればいいじゃないとか、あそこにももちろんありますけれども、千葉に造った方が、色んな面で都合がいい。工場自体は元気にしている理由はですね、千葉からだと千葉で作った物をすぐ近くに持って行けるという優位性があります。これも、東京圏に需要がありますから、輸送コストが非常に少なくて済む。九州で作るよりは、九州で作った物を、九州から持ってくるよりは、千葉で作った物を東京へ持っていくのが、当然安い訳ですね。
もう1つは、今情報の時代ですから、情報は工場だけでは、どうしようもありません。やはり、本社が持っています。研究をやるにしても、これをどうやって上手くその製造ラインに、のせるかというところにいくまで、やはり、本社と色々とネゴ(交渉)しながらやっていく訳ですね。そうすると、東京に行く迄、東京の本社に近い千葉の工場は、非常に有利です。それは、そうですね。だけど、そんなこと言ったって、神奈川だって同じじゃないですか、と皆さんおっしゃるのですが、実は、今フェリーはなくなってしまいましたが、木更津から川崎までフェリーがありました。 千葉から車に乗って行きますとね、木更津まで工場で空き地であると思われるのはそんなにありません。木がいっぱい植えられていますから、環境はある意味非常に良いですね、千葉の工場地帯の環境と言うのは。例えば、名古屋の知多半島の方を走って見てもらえればわかると思いますが、要するに、産業道路、ちり、ほこりが、もうもうと舞上がるような、本当に産業道路が言葉通り、産業道路という感じの所を走るのと比べて、千葉の道路は非常にいいですね。環境がいいです。それで、そんなに生産を活発にやっているかどうかは見えませんけど、少なくとも空き地は見えません。
そこでフェリーに乗って、川崎で降りて降りた所から川崎の駅前の方へ向って車走らせますと、右、左に空き地がバラバラでてきます。これは、もうちょっと横浜よりに走っても同じ事です。なぜそうなっているかと言いますと、神奈川の方がちょっと早めに発展しましたね。皆、力のある所も、3番手も4番手のところも、多くのところが神奈川に工場作りました。そんなに大きな工場じゃないですね、皆。ですから、リストラやろうと言う事になると、どこかに集約しましょうという話になりますね、そうすると神奈川の工場はリストラの対象、工場そのもの自体が、リストラの対象になります。千葉の工場はリストラの対象にはなりません。もちろん、工場を効率化するために、いろいろやると言う事はありますよ。そういう形ですね。影響の受け方が神奈川と千葉では違うという事なんですね。しかも残る所はそれにプラスαがつく可能性があると。
そういう、非常に重要な事実が、今、見落とされているのでは無いかと思います。 静かにしか進みませんから、研究所ひとつ作るにも何年もかかります。ぽつぽつと人はやってきます。その間に一方ではリストラでは何百人、人が減りました、という形がでてくる訳ですから。他所に比べればいいのだけど千葉ではやっぱり、少しずつ活力がなくなっていますね、という話になります。先ほど、ピークが30%から従業員が25%に減っているというのは、まさにそういう事なんです。それでも、千葉は地理的には非常に優位な場所にあって、これを上手く活かせば、何とかなっていくと、そういう状況にあるのだろうと思います。ところで、今、2次産業まで、やってきました。で、3次産業、これが重要なんですね。
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(3)第3次産業―サービス業、運輸・通信業、卸売り・小売業、飲食店、金融・保険業、電気・ガス・熱供給・水道業、不動産業、公務
実は、皆さん多くの方が、千葉の経済と言うのは、製造業でもっているとお思いだと思います。従業員数で、その25%と盛んに申しあげていますので、何だ、たいしたことないんだなぁと。製造業と言っても、4分の1かと、働き手からいうとそういう事になるんですね。あと何かというと、要するに1次産業は2.5%ですから、3次産業なんです。
戦後、太平洋戦争直後は24%の人が3次産業でやっていました。今、72%ですね。7割強の人が3次産業にたずさわっています。 という事は、千葉の経済は3次産業でもっているんです、実は。勿論、機関車的な役割を果たしているのは、やっぱり製造業なんでしょうね。これは、日本国全体がそうだと思います。ですけれども、千葉の経済を本当に支えているは、3次産業なんです。
この3次産業が何かと言いますと、今時、華やかなものとして、例えば頭に思い浮かぶのは、全国ベースでみますと、情報通信関係とか、云々という事になるんですね。千葉県の場合も、そういうものもあります。ソフトウェア産業もあります。いろんな物があります。ですけれども、基本的には、そこに住んでいる人間、千葉県の県民生活を支える、生活支援産業なんですね。小売屋さんから、クリーニング屋さんから、いろんな所があります。これは海外に依存しているというよりは、国内に依存している、或いは県内の需要に依存していると。そういう、いわば地に足がついた需要に支えられている産業が、千葉県の基本的な支え手なんですね。そういうことだと思います。
実は、これだけ、3次産業が増えた理由は、東京から、人が流れてきたからなんです。かつての経緯から言えば、24%から72%までウェイトが高まったのは、要するに、東京に住めない人が神奈川に行き、埼玉に行き、千葉に来たと。これも、大変いいことに人口増加は東京を中心にして、時計回りに増えたという話がありましたね、かつて。盛んにバブルの頃、その話が出ました。バブルの頃、いよいよ千葉県にやってきました。人口の増加率の推移を見ましても、昭和40年代から50年代にかけて、神奈川県が増えて、それから埼玉県が増え、それでバブルの時期まで、千葉県が増えたと。
何で、これがいいかと言うと、実は今、現役世代の人達が、うんと稼いでいる人が神奈川より、千葉の方に寄って来ていると言う事ですね。最後に、昭和50年代から60年代、それから平成に入って、そういう時期に千葉に住んだ人、まだこれから、しばらくは現役でやっていきますね。という事は、要するに収入が多いのです。神奈川に早く住んだ人は、もう定年になって、年金で生活している人がたくさんいる訳です。
ですから千葉はですね、特に東京に近い所の人程、高齢化比率が低いです。いずれ高くなってくるでしょうけど、高齢化率が低いという事は活力があるという事ですね。千葉、市原まで今そういう状況にあります。いずれそのうち高くなる・・高齢化率が高くなっていきます、負担が増えるかもしれません、ですけれども、今の状況というのは、稼ぎのピークにある人がたくさんいるという事です。という事は、首都圏の中でも、非常に有利な地位にあると思っていいんだと思います。そういう意味で、いいところを掴んでいきますと、千葉県という所は、決して悪い所ではない。東京圏自体が要するに人が集まってくる訳ですから、他所に比べると、非常に良い状況にあります。その中でも千葉県というのは、比較的に良いところです。
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▼千葉県はこの優位性を生かしているのか
もうひとつ重要なのはですね、私は今、一生懸命言っていますが、千葉県というのを、実はもう首都圏全体で考えないといけないという時期にきている、という事ですね。これからは、特にそういう要素が増えてくると思います。そうすると、千葉県では、一番いいのは国際空港を持っていると言う事ですね。何をやるにしても、やっぱり世界との繋がりが重要になってきます。
千葉県はこの優位性を生かしているのか、例えば今、ゲノム云々というのが話題になり始めています。IT関係で、ベンチャーがどうだといって、その話題がしばらく出ましたけど、ITバブルが崩壊して、ITベンチャーというのが、何となく力がなくなってきました。これから、やっぱり期待されるのは、バイオベンチャー、ゲノムベンチャーと言われています。今度は、バイオの関係は専門家が必要ですね。IT関係はまだ、そのインターネットにしても、思いつきでかなりのものが動きました。バイオは、私共の感覚だと、何か品種改良とか云々で、何か剃刀で切って云々とかですね、そういうことが十何年前に、何か色々言われましたので、あの程度のものだろうと思っておりましたが、ゲノムを解析して、それでどうこうするという形になってくると、これは本当に大学教授、大学院教授ですね、こういう人達をどう上手く使っていくか、そういう領域に入ってきているみたいです。 そうしますとこれは、世界の頭脳をどうやって上手く使いこなしていくか、そうすると、やっぱり世界の頭脳ですから、あちこち飛び回るのに、国際空港が近くにないと困るのですね。そういう意味でこれから、期待される分野は、千葉県には色んな有利な条件があります。
バイオの関係でいきますと、今、大変な勢いでどうやら変わりつつあると言うことが言えるみたいですね。ですけれども、私ども千葉県ではまだそれを実感できません。なぜかと言いますと、ごく一部の所がですね、本気になって動き始めました。例えば、日本でいえば、東京大学の理化学研究所、白金台にあります。ここは北里柴三郎の、細菌学の研究ですね、非常に立派な業績を残しています。ですけれども、この白金台の研究所が、バイオでアメリカと張り合う様な新しい研究を・・色んな設備を入れて、新しく変わりつつあります。この間、新井さんという所長の話を聞きましたら、この人は東京大学を卒業して、カリフォルニアに渡って・・要するにIT関係のベンチャーが色々やったように、医学での分野で同じようにサンノゼで研究していたようですが、日本に今帰ってきて、と言っても住まいは向こうですけでね、理化学研究所を色んな面で変えてます。昔、明治時代に建てたであろうと思われる・・大正時代かも知れませんが、古めかしい建物が一つ十何年か前にありましたが、今その裏に大変大きな研究所と病院を建てています。ここで、やっと動きはじめたということですね。
千葉県はどうかというと、上総に立派な研究所を作りました。その東大理化学研究所の新井所長が、東京ベイゲノム計画とか言って、いろいろ言い始めましたが、東大の理化学研究所・白金台の研究所を中核にして、上総を入れて成田を入れて、東京湾全体をぐるっと囲むような形で、横浜の研究所も入れて、世界に冠たるバイオの集積を造ろうと。その中にちゃんと千葉県は2箇所ノミネートできる所があるんです。それだけ立派なものがあるんですね。
ですけれども、今、何やっているですかねぇ?よく判らないんですよ。10年ちょっと前から動き始めて、数年前にちゃんとしたDNA研究所ができました。一生懸命やっている、確かにやっているんですけど、さてそれでどうしましょう?という話になると、なかなか動きが出てこない。変わらなくてはいかんという状況の下、白金台の研究所は大変な変貌を遂げつつあります。 その中で今、千葉県はどうやったらいいのでしょうという事が、もう端的にいろんな所で同じ様なことが言えると思います。千葉県の状況というのはこのように非常に、地理的に見ても、それから政治を入れたような形で、地政学的に見ても非常にその条件はいいです。ですけれども、本当に動き出していますかね? 皆が変わろうとする時、なかなか変われない。これが今一番の課題だと思われます。
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▼この10年で失われたもの
実はこの10年位、日本全体を見ても、失われた10年と言われています。成長が止まったというか、それをもって、失われた10年と多くの人が考えていますけど、私は失われたのは何かというと、「自信」だろうと思います。 日本人みな、「自信」を失ったのではないかと思います。ですから、過去の栄光にすがりついて、同じような事で飯食っていければ、これでいいじゃないかと思いつつあるのではないか、という気がしてしょうがありません。
この10年位、ちっとも良い思いをしていません。成長した実感がありませんから、少なくとも、生活水準が良くなった感じを、殆ど持てないんだろうと思います。ですから、これから50年、人口が減ります、2006年をピークに人口が減りそうですね、という国の機関の人口見通しが発表されても、評論家も学者もその内容を伝えるだけですね。これは困るという声が聞こえてきませんね、残念ながら。まぁ、そんなものでしょうね、としれっとした感じがしますね。このままだと、本当に日本が駄目になるかもしれない。皆が成功体験を持っている訳です。それはそれで、非常に良い事なんです。良い事だけれども、それにすがりつくと、これ以上良くならない。良くならなくても、このまま水準維持できますねと皆思っている訳です。どっこい、そうはいきませんよ、というのが経済の話なんです。
何故かというと、資産は同じかもしれません、でも資産価値は落ちていくかもしれませんね、ひとつは。もう一つは、働いて、稼いで初めて収入が得られるのです。資産があっても、それは収入にはなりません。 同じ様に働いても、今の状況というのは何となくデフレの感覚があります。そうすると、同じ金額だけ稼げないんですよ。工夫して新たに何かをやらないと、同じ金額を稼げない可能性があります。今、そういう状況になっています。そういう自覚というのが殆どない。何故ならば、そういう話が殆ど出てこないからです。表面上の話としてデフレですとか、いや、デフレスパイラルに陥っていますねと・・冗談言っちゃいけませんということですね。エコノミストや評論家が、日本はデフレスパイラルに陥っているんですよと、のうのうと言っていますが、そんな事になったら大変ですよね。ならないためにどうするかという事を考えなくてはいかんと、今の状況は。
自信を失っている人に、どうやって、もう一度自信を取り戻してもらうか、同じ様にやっていたのでは、よそに負けるだけなんです。それは、よそがスピードを増したからなんです。アジアの諸国が、或いはアメリカですね、今アメリカは、2.5%〜3%位の潜在成長率があると言われています。日本は1%あるかどうかと言われています。 これだけスピードに差がある訳です。スピードに差があれば、彼らに比べて日本が1%で走っても相対的に沈んでいきます。一方で物はどんどん入ってきます。そうすると、経済全体がどうしたって沈まざるを得ない、という状況になってまいります。
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▼中国の競争力の秘密
世界のスピードがとにかく速くなったと。何故かというと、実は日本から物も金もつけてやるからなんです。中国でこれだけ生産が活発になるのは、例えば、日本ではもうテレビを殆ど作れなくなりましたね。作れなくなった・・物理的には作れるのです。コストに合わなくなったんです。ここ2〜3年で、わぁーと、中国で生産する量が増えました。中国の地元の地場企業が殆ど作っています。それじゃ、ブラウン管も液晶TVも、CRTの物も、中国の工場、会社が作っているかというと、そこのところは置いといてと言ってしまうのですね。よそから買ってきて、そのTVセットが作れるなら、それでいいじゃないですか、と。
日本人は一生懸命ブラウン管から始まって、とにかくみな自分でやりましょう、と一生懸命やりましたよね。だから、10年、20年かかったんです。それを2〜3年であっという間にやってしまうのです、中国は。日本からはブラウン管であり、液晶が輸出として出ていく訳です。ですから、輸出は依然としてあるんです。日本は、まだまだ大丈夫なんです。ですけれども、TVのセットはもう、中国で作らないと競争力はありません。フラットTVもワイドTVも、それからハイビジョンTVも、もう殆ど日本では製品として作ると、コスト競争力はありません。新しい物は、何とかして、50万、60万、80万と店頭で売っているTVありますね、あれは日本でまだ作れます。ですけれど、それもそのうち向こうで作るようになるんでしょうね、圧倒的に人件費が違いますから。日本の大体約30分の1です。香港に近い広州地域で今は作られています。それで、しかも、なかなか賃金が安い状況が改まらないんです。という事は、同じ様な値段でどんどん出てくる可能性があるという事です。
日本だと、高度成長期、賃金はどんどん上がりましたよね。上がったから、購買力も増えて、それを吸収しながら、どうやってそのコストを低くしていくか、一生懸命やった訳です。 日本のメーカーはそういう形で内需を増やしながら、輸出競争力をつけるという形でやってきた訳ですが、中国のメーカーは、必要な物は外国から買います。それから人が一杯います・・中国の都市へ行った方は、皆さん驚かれると思いますけど、何処から出てくるか判らない程人が集まって、中国全土からやって来る訳ですね。ですから、香港に近い広州あたりの工場は、だいたい2〜3年位で田舎からきた人を帰してしまいます。また、新しい人がやって来るんです。新しい若い女工さんがやって来る訳です。それで、2〜3年働いて帰りますと、その若い女工さんは、帰ったら自分の親に家を建ててやれるだけのお金を持って帰るのです。また、新しい人がやってきますね。また、同じ値段で始まるのです。そういう状況がずっと続いているのです。
日本だったら、やって来た人はそこに住み着いて、また新しい人が来て。その地方の方は過疎になって云々と。残っているのは、お爺ちゃんとお婆ちゃんだけという形になった訳ですね。それで、賃金がどんどん上がる。全体の賃金が上がるものだから、その先頭だけは一生懸命走って他のところは、同じ様な事をやりながらも、収入が増えてきてやってきた訳ですね。ところが世界の工場である中国の状況というのは、そんなものでは無くて、何時迄でたっても、同じ様な値段で出来ます。そうすると、あっちで作らざるを得ませんねという形になっていく。ですからこれが今、空洞化ということです。
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▼自分で考えて変化する:ユニクロの例
それに対して日本はどうするかというと、それを使いながらも、要するに工夫しながら、やっていくしかないですねという事です。こういう状況を踏まえた上で日本でやっていく以外ないでしょうね。
最初にやったのは、ごく最近で言えば、ユニクロさんですね。ですけど、最近ユニクロさん自体、あのファーストリテーリングの売上が、前年比半分近くに減っているのです。何故か?同じ様な物があちこちで売られる様になりました。あそこだけの専売特許でなくなくなったという事ですね。いくらだって入れれる訳です。供給力がそれだけ中国にはついています。最初はユニクロさんは、技術を持って行って、加工する技術を現地工場に移し替えるという事で、あそこの存在感を出した訳ですけども、今やよその工場でも同じ様に作れる、あっという間にそういう状況になってくる。そうすると、マネしたんじゃ・・ユニクロが儲からなくなってくるという事は、マネしてやったのでは、なかなか上手くいきませんねという話になるのでしょうね。
色々閉塞状況が考えられるのですが、そうすると、何をやるかというと、自分で考えて変わるしかないですね。ユニクロみたいなことを自分で考えて、違う事をやりましょうという事しかないんです。放っておけば駄目になりますよね。要するに、かつて、問屋さんから仕入れて、その日本橋等に行って買って来て店に並べて、ポロシャツ並べたりしていた所はですね、非常に困っていらっしゃいますよね。ああいう形のものでは価格競争力がなくなってきました。そうすると、他のやり方でやる以外無いということです。こういう形になってきているんだろうと。多くのものがそういう形です。変化していく以外に元気を維持する力はなかなか出てこない。
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▼心の持ち方:個人消費を増やす
これからはですね、元気を出そうと思ったら、これは私共が金を使う事だと思います。最初の話に戻ります。輸出は増えました。ですけれども、個人消費や設備投資、公共投資は増えません。公共投資はしばらく難しいでしょうね。ですけれども、設備投資や個人消費というのは、これは、増やそうと思ったら増やせると思います。特に個人消費というのは、心の持ち方次第だと思います。
私共、この10年位、自信を失いましたね、特に若者は、良い思いを全然してませんよ、と申しあげました。こういう状況の下で、お金を使おうと思わないですよ。結構使っていますよね、若者は。ですけれどもね、更に使おうかということなんです。まぁ、実は言い方も悪いんです。もう少し貯金を減らしてもいいんじゃないですかと、貯蓄を減らしてでも金を使ったらいいじゃないですか、という言い方をする人がいますが、その必要は無いのです。
稼いでいる分を使えばいいんです。今、稼いでいる中から、ある部分貯蓄している訳です。なんで貯蓄しているか? 実は、お金が無いからではないんです。お金が無いんだったら貯蓄できないんです。程々には稼いでいるのです。それじゃぁ、デフレだからですかねぇ、という話があります。そういう事をいう人もいます。ですけれども、デフレだからというのはどういう事かというと、非常におかしな話です。先になったら、値段が安くなるから、先になってから買いましょう。本当にそんな事考えているのでしょうか。多くの人は、今ひとつは、不安だから、自信をなくしている、先が見えないから、とりあえず、貯金しておきましょう。金があれば何とかなるのではないでしょうか、という事で消費を減らしている。消費を抑えているというのが、今の状況ではないかと思います。
これが実は、今の経済の足を引っぱっているんです。自分では良かれと思っている事が、全体では悪い結果をもたらしているという典型的な例です。 それじゃぁ、皆さん、使いましょうよ、買いましょうよ、と言って済むかといえば、決して済まないでしょうね。そんなこと言ったって、やっぱり不安ですよという事なんです。何で不安かというと、先行きどうなるか判らない、一番大きなものは年金であり、健康保険であり、それから、もうちょっと深刻な問題で言えば、職を失うかもしれません、というそういう不安ですよね。この不安があるから、何とかして、自分で金を貯めておきましょう。金貯めたって、1年、2年で使っちゃいますよ、もう。 そうするとね、そんな事で備えるよりは少し自分で変わりましょうと、変わって流れに乗ってやりましょうと。そう考える方が今の時代に合っているのではないかという感じがします。
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▼先行き不安を取り除く環境作り
実は日本人だけが、非常に勤勉なんですよね。この勤勉さというのは、最近随分失われているだろうと思うのですが、少なくとも貯蓄をしようという事から言えば、日本は断突に高いのです。これが美徳でした。ですけども、今やこれは美徳じゃないと。アメリカですと、もう稼ぎを殆ど全部使っています。これは、ちょっと行き過ぎだと感じますけれども、よそがいろいろ金を使うんだったら、日本だって、それくらい使えるような環境にしたらいいんですね。
どういう環境にするかというと、「年金は大丈夫です」という環境ですね。もう1つは、「健康保健は大丈夫です」と。そんな事言ったって病気になれば、いっぱい金を払わなくてはならないですかと。 程々に負担は必要かも知れません。ですけれども、これくらいの負担で大丈夫ですよ、というのと、もう一つは年金ちゃんと払いますよと。払うためには、払えるためには、実は今の制度を少し変えなくてはいけませんね。若い人はもう年金どうせ貰えないでしょうから、入りたくないという事で、国民年金入らない人が、随分増えています。これは、実は、嘘っぱちですよね。 払えなくなったら、税金である分補填するんです。少なくとも国民年金については。そういうシステムにならざるを得ないです。だから、大丈夫だと私は言いません。それをやるためには、いろんな事をやらないといけないと考えています。ですけれども、これで、大丈夫ですよね。
実は、今のお年寄りは、貰っている人達は、自分が払ったよりも5倍も6倍も貰える様な水準になっています。特に厚生年金の受給者はそういう状況になっています。これは貰い過ぎなんですよね。その裏には何があるかといいますと、バブル期の発想があります。厚生年金ですから会社勤めですよね。そうすると、給料は少しずつ上がっていくと、収入も上がる。定年になりましたと、その定年の時のまあ6割位は貰える様な年金だったらいいですね、と。設計上は7割近く貰えるようになっています。そういう数字を作ってそれで、少なくともその位の水準の資金を、年金だけでは貰えないから、年金以外にこの位貯金が必要ですねという事を、フィナンシャルプランナーという人が、皆さんに言う訳ですね。特に、保険を扱っている人ですよね。これが、貯蓄率を上げたんです。良い事だったんです、ある時までは。
ですけれども、将来不安ですね、と言われちゃうとですね、ついつい金を貯めようとしてしまします。そうすると消費が減って、今の景気が悪くなっていきます。景気が悪くなると、益々年金は払えなくなってきます。収入が増えなくなりますからね。そういう今、悪循環に入ろうとしています。それで、定年に達した後、例えば、その6割は欲しいですねと。欲しいかもしれません。でも、ずっと6割必要ですか?という事なんです。50歳頃考えていたその老年期というのは、ずっと、元気で動けますねと。ですけどね、80、90になっても、あちこち世界飛び回っているそんな人もいるかもしれません。元気な人はそれでいいです。ですけど、一般の人は、それはそれなりの行動範囲になってしまう訳ですね。そうするとそんなにいるはずないんです。そうするとモデル自体を少し変えていくと。
若い人がもっと稼げるようにする、使えるようすると、そのためには、老人、年寄りはある程度、抑えざるを得ない。活力がある人に頑張ってもらわなくては、いい世は、いい世間はできない訳ですね。それで、これから年寄りになっていく人達は、安心できるかどうかですね。嫌ですよというか、それとも、まぁ、そういうものですねという形で、全体の設計を変えていくか、先行き、安心が持てればそれなりにそんなに5000万も6000万円も、金を貯蓄しておかないと先行き不安ですね、と思わなくて済む様な社会にする。 そのシステムには例えば、今みたいに何でも金で払わなくてはいかんという事ではなくて、NPO、NGOの活躍の場を拡げるとか、いろんな事があるかもしれません。海外の状況を見ると明らかに金がすべてでなくて、生き甲斐というのは別の所にもありますねと。そして、全体として安心できる様な社会にしましょう。
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▼既得権益の意識を捨て、自分で稼ぐ
そのためには、いろんなシステムを変えていかなくてはいけませんね。 変えるのに何が今ネックになっていうかというと、既得権益なんです。 皆、こういう話をすると、そうですね、そうですね、と皆おっしゃるのです。あなたも既得権益持っているんですよ。私も既得権益持っているんですよ。私の部分を少しはやっぱり吐き出さないと駄目ですねと。それが今の状況なんですよ。
総論で賛成するけど、各論になって、ぱたっと動きが止まるのは、まさにそこなんですね。日本人はとにかくよそから見ると、大変豊かになっているんです。一人一人が豊かなんですよ。その豊かさを維持するためには、ある部分、吐き出さざるを得ない状況。これが今の状況だと思います。 一方で吐き出して、その代わり稼ぎましょう。変化して稼ぐ力を付けましょう。今まさにそういう状況。ですけれども、既得権益に頼っていると、それだけでちゃんとできるんです、今。当面はその部分でちゃんとやっていけます。ですから、それでやっていきますか?それとも、やっぱりもうちょっと動く様にした方がいいでしょうか?と、その二つの選択の狭間にきている。
特に千葉県の場合は、土地も相対的に高いですよね。今、下落率が大きいですけれども、水準自体は非常に高いです。ですからある程度の土地を持っている人は、それだけで充分食べていけます、家作を作るとかいろんなことをやればですね。ですけれども、それだけで本当に良いのでしょうか?それぞれが、皆既得権益を持っています。これで、しばらくはやっていけます。それでやっていくと、最初に申し上げましたGDPで、過去8年間で見ると0.8%〜1%位の成長しか期待できませんね、という状況です。
これは、今の状況があまり変わらないというのを前提におくと、そういう形になります。少し変えていこうと、自分で稼ぎましょうと、変わって稼ぐとその分だけ、上に乗っかってくる訳ですね。これは、1〜2% 、本来の成長率が変わらなくて、1% 、それに2%、例えば加えれば、それで、3%成長になるわけですね。これは、私共がこれまでずっとやってきた改善のやり方、1%、2%を積み上げて、それでプラスを作っていくという、そういうやり方ですよね。これでもそれ位まではいきます。
今、大企業では、トヨタ生産方式に見る様な改善といいますか、それを拡げていって少しでも良くしましょう、という事だけでは駄目ですねと、戦略的にがらっと変わらないと駄目ですねと。 中国のコストを比べると、人件費が30分の1違う。コストを比べると、日本はいかにもコストが高いから何とかしないといけませんね。がらっと変えましょうと。今言われ始めたのが、トヨタ辺りでも、1%、2%、何%というオーダーではなくて、コストを何分の一にするかという、それが重要だと彼らは言い始めました。これは、やれるとこやってください、私共は少なくとも改善という形で1%、2%でもいいじゃないですか、それで変わっていきましょうよと、それだけ乗せれば、それだけで経済が元気になるんです。
そのために、官の方に言うとすれば、これは明らかに安心できるような状況にしてくださいよと。それは、これ迄やってきたのとは違う様な形で、ある部分は国民全体に負担を強いながら、全部に一律じゃないですよね、ある部分はこの人に、ある部分はこの人に、まさにそういう選択をやりながら全体として既得権を少し減らして、その代りこれから自分で工夫して、権利を得るところには、それだけ稼ぎがくっつきますねという形ですね。そういう形で動いていく以外にはないのではないか、という感じがしています。
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▼機関車方式から電車方式へ
日本はこれ迄、極めて立派な経済を築いてきました。 世界的な言葉で言えば 日本ほど、社会主義が進んだ国はないというかですね、平等です、極めて平等です。その平等が崩れ始めましたと2〜3年前から言われる様になってきました。ですけれども、これは、これに対して、だから平等が必要だという言い方と、いや活力を取り戻すためには、突出するところを突出させる以外にないですねという、2つの考え方があります。
私は、突出するところが出てくるのはしょうがない、ですけれども、これ迄は、列車で言えば機関車方式ですよね。機関車部分があって、この部分が必死になって走りました。あとは皆、動力源を持たないものが主なんですね、ずっと続いて、相当なスピードで走ってきました。
今、世界全体が動き始めましたら、電車方式で走っているという事でしょうね。それぞれの車輌にモーターがついているんです。私共はそういう形にせざるを得ないですね。その上で強力な機関車が一台ついていればそれに越した事はないです。私共は、自分自身で変わるという事は自分自身が、電車のある一両になるという形ですね。
これ迄の客車方式で乗って先に引っ張ってもらう、その結果として全体の相場が上がれば、賃金が上がっていた訳ですね、これ迄。端的な例が、あの理髪の代金です。同じ事をやってきても、ずっと上がってきました。いや、そんな事ありません。自分の所はこうやって工夫を凝らしてやってきました、という方もいらっしゃるでしょう。ですけれども、基本的には人件費は相場で決まるという形になっていました。今や相場で決まらなくなった。そうすると自分で稼いでいくしかないと。それが電車方式に変わっていくという事だろうという気がいたします。
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